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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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eternalsunshine.JPG

NHKで「エターナル・サンシャイン」を鑑賞。
(2004年アメリカ、原題Eternal Sushine of the Spotless Mind)

以下の文章にはネタバレを含みます!未見の方はご注意を!!!

まず特筆すべきは映像だ。
ごく普通の男女の出会いの物語が延々と続いたあとようやくタイトルがクレジットされると、唐突に物語は猛スピードで加速して凄まじい映像のオーバードーズへ没入、観客の幻惑をよそに過去と未来、リアルとヴァーチャルが伸縮を繰り返し縦横に錯綜する「記憶の奔流」へと突入する。このめくるめく白昼夢のようなシークェンスが素晴らしく、ミュージック・ビデオの出身であるミシェル・ゴンドリーの面目躍如、ポラロイド・カメラで撮ったような粗雑な映像は90年代のオルタナティヴ・カルチャーに通底したローファイのコモンセンスそのもの。90年代を彩ったオルタナティヴ・ロックのビデオ・クリップが共通して持っていたストリートのローファイズム、アンダーグラウンドのジャンクネス、そしてハイアートにおけるデコンストラクションの方法論が共存するこの「エターナル・サンシャイン」の映像は、オルタナティヴ・ロックがカウンター・カルチャーとして機能していた頃のノスタルジアであり、またそれらの断片のパッチワークであるとも云える。

めまぐるしく変転を繰り返す映像の羅列と同時に、脚本もカットアップに似た酩酊感をもたらす。
プロット自体は「トータル・リコール」とほとんど同じ、記憶操作によって虚実の境界線を彷徨う物語という空想科学にひとつの領域を占める題材だが、「エターナル・サンシャイン」では編集と映像がよりその境界線を曖昧にし、その不安感を増長している。「マルコビッチの穴」で知られるチャーリー・カウフマンが参加した脚本は各方面で絶賛され、米アカデミー脚本賞まで受賞したが、恐らくジム・キャリーが自らの記憶の深奥で煩悶と遁走を繰り返すこの一連のシークェンスが高く評価されたのだと思う。確かにこの部分は素晴らしい。観客は映像の時系列を撹乱され、ふだん映画を観るときに用いる時制文法を麻痺させられ、そのやりかたがこの映画ではまったく通用しないことを思い知らされる。観客はシートベルトを締め、ジェット・コースターはレールの頂点へ上がり切り、あとは猛スピードで滑降するだけだ。
その意味でこの映画は無条件で観客のアドレナリンを大量に圧搾する、優れた映画であると言わざるを得ない。


しかし、逆を言えばこの映画の核はその部分「だけ」と言うことも出来る。記憶の中で延々と繰り広げられる追いかけっこ、それを描写したかっただけ。映像もナイス!編集もグレート!でも、物語全体を振り返るとなんてことはないラブストーリー。つまり、107分間に渡るビデオ・クリップなのだ。
だからやはりこのラストは問題だ。これじゃまるで「秒速5センチメートル」だ。いままで何のために壮大な追いかけっこを観させられてきたのか?こんなどうでもいい、しかも安易で陳腐な結論を提示するためだけに?バカップルが元サヤに収まるだけの話じゃないか!(それが良いってひともいるかもしれないけどね。)
ローファイズムで溢れた映像美、チャーリー・カウフマンの混沌と疾走感に満ちた脚本、ジム・キャリーの演技もあざと過ぎなかったしケイト・ウィンスレットも良かった。イライジャ・ウッドも卑怯千万なクズ野郎を嫌がらずにきっちり演じた。カースティン・ダンストもそこまでケバくなかった。だからラストをもうちょっとひねっていれば、この映画は後世に残る大傑作になっていたに違いない。

 

ところで、前述のとおりこの映画の脚本は高く評価され、優れたSF映画やホラー映画に贈賞されるサターン賞の2004年度のSF映画部門賞にも輝いた。前年の受賞作が「Xメン2」、次年度の受賞作が「スターウォーズ エピソード3」、過去には「エイリアン」や「ロボコップ」、最近では「クローバーフィールド」といった多士済々のゴリゴリのSF映画が代々受賞してきたこのカテゴリーにおいて中身はごく普通のラブストーリーでしかない「エターナル・サンシャイン」が受賞したことは極めて異例であり、記憶操作という月並みなプロットをより分裂症的に構成した脚本が高く評価されたことが伺われる。チャーリー・カウフマンの斬新さと緻密さに溢れたこの魅惑的なナラトロジーが同業者たちに少なからぬ影響を与えただろうことは想像に難くないが、恐らく最大のフォローワーは細田守監督のアニメ「時をかける少女」なのではないだろうか?「エターナル・サンシャイン」における記憶の中のクレメンタインとの追いかけっこと、「時かけ」において真琴がタイムリープを駆使して過去を改変しようと時空を駆け巡るシークェンスのプロットがそっくりなのだが。特に千昭に告白された過去を何とか変えようと同じ過去へ何十回もタイムリープするシーンがそっくり!そもそも「エターナル・サンシャイン」でクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)は「ジム・キャリーと付き合っていた過去を消すために」記憶消去を決意するのだ。「エターナル・サンシャイン」が2004年、「時かけ」は2006年の映画。「時かけ」のスクリーンプレイを手がけた奥寺佐渡子女史が「エターナル・サンシャイン」から影響を受けた可能性は非常に高い、というかそうとしか思えない。(それくらい似ている)

もちろん個人的には「時かけ」の方が好きだ。というかあの映画はほんとうに良かったと思う。あの映画は青春ジュブナイルという保険があったから平々凡々としたラブストーリーでもジュブナイルのメチエで物語を貫けばそれで良かったし、それ以前に恋愛というものを極めてシニカルに俯瞰していた。これはほんとうにすごいことだ。でも「エターナル・サンシャイン」の根底にあったのはフジテレビの月9ドラマのようなファンタジーでしかなかった。だからぜんぜんリアルじゃない。記憶消去というガジェットが非現実的だとかそういう意味じゃない。「エターナル・サンシャイン」では最後は結局ハッピーエンドになるけど、でもあの2人じゃ結局うまくいかないよ!」って思ったひと多いんじゃないかな?

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無題
うまくいかなくても良いんです
そのあとまってるのは悲痛な日々かもしれません
きっと彼らはそれが分かっていて
それでもそういう答えをだしたんです
だから本当はハッピーエンドじゃないのかもしれませんね

でもこの作品はそういう恋の生々しさみたいなのをえがきたかったんじゃないですかね
NONAME 2010/07/25(Sun)17:07:29 編集
無題
NONAMEさん、コメントありがとうございます。

確かに、そういう部分を描いた映画かもしれないですね <恋の生々しさ

でも恋の生々しさだけで人間食べていけないので、これから二人を待っている日々のことを考えたりすると、やっぱりどうなのよとも思いますが。恋の生々しさに溺れていられるその一瞬は幸せかもしれないけど・・・ 

でもだからこそ恋愛って素晴らしいかもしれないですね!



ちょっといま手元にDVDがなくて、どんな物語だったか忘れかけているのでまた観直してみたいと思います。
ジャンキー 2010/07/26(Mon)01:40:26 編集
無題
うまくいかなくても良いんです
そのあとまってるのは悲痛な日々かもしれません
きっと彼らはそれが分かっていて
それでもそういう答えをだしたんです
だから本当はハッピーエンドじゃないのかもしれませんね

でもこの作品はそういう恋の生々しさみたいなのをえがきたかったんじゃないですかね
NONAME 2010/07/26(Mon)03:18:10 編集
無題
すみませんまちがえて二重に投稿してしまいました

現実的なこともやはり考えてしまいますよね
最近学校の課題でこの作品について見直したのでコメントさせて頂きました
個人的にはとても好きな映画の一つです
NONAME 2010/07/26(Mon)03:22:55 編集
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