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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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2009年は永遠に生き永らえるものと思われていた森繁久弥が死んで、「人はいつか死ぬものなのだ」という、しごく当たり前でありながらもっとも哲学的かつ神学的な問いかけについていまいちど深く考えさせられる年だったと思います。
ひらまつつとむ先生の名作「飛ぶ教室」の読み切り版(単行本第二巻の巻末に収録)を読んだことありますか?主人公のオサムのラストのセリフにこんなのがあります。「体が震えた・・・生まれてはじめて心の底から泣きたくなった。映画やテレビで人が死んでもよく考えなかった。人が死ぬって こういうことだったんだ。」
2009年はそういう気持ちになることが多い一年だったのではないでしょうか。ほんとうに余りに多くの著名人が、特にサブカルチャーの分野においてバッタバッタと亡くなられて、何とも言えない気持ちになりました。
特にショッキングだったのが、まずはマイケル・ジャクソン。永遠にお茶の間にネタを供給しつづけてくれる存在だとばかり思っていたのですが、死とひきかえに正当な評価を取り戻したのが何とも皮肉です(生前にもっと愛してあげれば良かったのに・・・)。わたしは彼の音楽にはほとんど関心がありませんでしたが、ワールドクラスのネタ・タレントとしてリスペクトしていたので彼の死にはやはり堪えられないものがあります。同じ意味で、ファラ・フォーセットの死も衝撃でした。マイケル・ジャクソンと同じ日に亡くなった"angel"でしたが、彼女の場合はもっとハッピーな最期だったようです。
そしてアベ・フトシ。鬼神の如き凄まじいカッティングで日本中の高校生に多大な衝撃と建設的な教唆を与えたJポップ史に残る偉人ですが、まさかこんな若さでこの世からドロップしてしまうとは・・・。彼の残虐なまでに情熱的なギター・プレイがあったからこそ、90年代後半~ゼロ年代前半のJポップ文化は豊かなものになったのだと本気で思います。
あとは、ダン・オバノン。ホラー映画史に確かな足跡を残した稀代のストーリーテラーでした。彼が亡くなったことで、ホラー映画の世代が確かに一巡しつつあることを実感し、何とも名残り惜しい気持ちになります。
ギタリストと言えば、ギブソンレスポールのゴッドファーザーであるレス・ポールさんも大往生の末、天寿を全うされました。また、あまり日本では報道されませんでしたが、Blue Cheerの偉大なる爆音ロックンローラー、ディッキー・ピータースンもくたばってしまいました。超超超名盤「Vincebus Eruptam」の歪み切ったファズ・ギターの爆音がなければPanteraやSlayerやMotorheadやAC/DCやMelvinsやNirvanaやNeurosisやHigh RiseやBorisやGreenmachineやCryptopsyはもちろん、非常階段やSunn O)))も誕生しなかったわけで、その意味では爆音ロック史の最重要人物でした。ヘヴィ・ロックのモノリスの死を悼み、今後も爆音ロックを愛しつづけることをここに誓います。


ゼロ年代最後の年はそんな終末感ただよう黒衣の一年だったわけですが、2000年問題ではじまり911で革命的に「何か」がブッ壊れた、混沌としたゼロ年代の総決算という意味では、象徴的な一年だったのかもしれません。

ゼロ年代が「喪失のディケイド」であるとするなら、2009年はまさしく「喪失の一年」でした。
しかし、いつまでも喪に服して下を向いているわけにもいきません。偉大なる先人たちの死を悼みつつ、彼らからしっかりと「何か」を受け取って、また歩き出さねば。不幸な出来事は多かったけど、それだけの一年でもなかったはず。喪失と混沌の奔流の中で確かに芽吹いたものが、きっとあるはず。






・・・ということで、打ち続く悲しみから立ち上がるための萌芽を見つけ出すべく、2009年を大衆音楽の面から振り返ってみたいと思います。2009年に発表された音楽作品の中から、わたしjunkieが聴いてみて良かったと思うものベスト10(+その他)、を、誰も興味ないかもしれませんが自分用のメモの意味も込めて、発表します。

選考対象は2009年1月1日前後~2009年12月31日前後にリリースされた作品の中で、2009年以前の音源のリイシューや過去音源のコンピレーション、また既発作品の初CD化などのアップ・コンバートを除いたCD、アナログ作品です。ですから普通に考えたら嵐のベスト・アルバムや菅野よう子のベスト・アルバムが上位に食い込んでいて然るべきですが、今回は割愛しています。(微妙なのがNirvanaの「Live at Reading」ですが、今回は新譜として扱っています)


それではカウントダウン方式で参ります!


2009年 junkie的大衆音楽作品10選(+その他)


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10 Dinosaur Jr. 「Farm」
とにもかくにも1曲目の「Pieces」、これに尽きます。間違いなくDinosaur Jr.にしか作れない、唯一無二の最強のポップソングです。イントロのギターリフだけで瞬殺されます。泣きのギターソロ、無気力なボーカル、ドミナント・コードの多用、総てが完璧です。21世紀になっても相変わらず泥臭いギター・ロックをどうしようもない爆音とどうしようもないヘタウマな演奏でやってしまうところにマンネリズムと同時に、ある種の矜持を感じます。ボーナス・ディスクのライヴもどうしようもない爆音で、そしてどうしようもないくらいヘタですが、ぜんぜんオッケーです。とにかく「Pieces」すご過ぎ。

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9 椎名林檎 「三文ゴシップ」
わたしは熱心な椎名林檎のリスナーではないし、歌舞伎町の娼妓がどうのこうのとかナナメ後ろの女子高生がどうのこうのとかどうでもいいし、それ以前に狙ったようなブレスの入れ方とか気に入らないのでむしろそんなに好きなミュージシャン/ボーカリストではなかったんですが、このアルバムの先行シングルとして発表された「ありあまる富」を聴いてその印象が大きく変わりました。在り来たりで無難なアレンジのポップソングでこりゃ安全パイだな、と思いきやさにあらず、「彼らが手にしている富は買えるんだ/ぼくらは数えないし、失くすこともない」「価値は命に従って付いてる」と訥々と歌う、中道左派の北欧社会民主主義的な哲学に貫かれたゴリゴリの新自由主義批判ソングなのでした。どんなハードコア・パンク・バンドがポリティカルな歌詞を歌い叫ぶよりも、このような口当たりの良いシンガロングなポップソングに思想的な歌詞を乗せるほうが何倍も有用であることに気付いたと同時に、椎名林檎が覚醒して「歌いながら説教するさだまさし的SSW」へと進化しつつあることを実感したのです。(詳しくはこちらで
このアルバムでは「労働者」という曲が凄まじいくらいに良いです。楽曲と歌詞、そして歌唱、総てが完璧です。椎名林檎が楽しそうに歌っているのも良いです。「いったいいくらかかるの?果てしない充足まで/とても間に合わない、身体と時間がない」「悪いのはどいつだ、顔見せな!」「お願い、夢を見さして!」、という歌詞に血涙の叫びを感じたのは、わたしだけではありますまい。「労働者」は2009年でいちばん聴いた曲かもしれないです。それくらい良いです。

god_is_good.JPG
8 Om 「God is Good」
凄まじい低音と、骨格だけになったようなシンプルな楽曲、そして呪術的なボーカル。録音はSteve Albiniです。単なる麻薬ヘロヘロロックと片付けることは簡単ですが、ホワイト・ブルーズがどのように興隆していったか、そしてそれがそもそもどのようなものであったか、その歴史を後景に鑑みると考えさせられるものがあります。(詳しくはこちらで

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7 Big Business 「Mind the Drift」
Big Businessの音楽性をどう言い表していいかよくわからなかったんですが、何となくHarvey Milkに近いんじゃないかと最近思っています。良質なメロディと確かなヘヴィネスを持った佳作。ゼロ年代のアメリカのアンダーグラウンド音楽の実態を知る意味でも、資料的価値のある作品です。(詳しくはこちらで

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6 Melvins 「Chicken Switch」
これは純然たるMelvinsの新譜ではなく、リミックス集。しかし、山塚EYE氏を筆頭にリー・ラナルド、メルツバウ、Acid Mothers Templeのカワバタ氏・・・とアメリカのアンダーグラウンド最重鎮Melvinsのリミックスだけあって多士済々の凄まじいメンツが揃っています。当然のようにクオリティが高いリミックスになっているわけですが、むしろ原曲の良さが際立っているようにも感じられます。「Lysol」を擦り切れるほど聴いたゴリゴリのMelvinsファンには堪らない企画盤。

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5 Fu Manchu 「Signs of Infinite Power」
普通に超カッコいいヘヴィ・ロック!です。ただ、普通に超カッコ良すぎて腰を抜かすのは間違いないのですが、ここまで超カッコいいロックばっかりの捨て曲なしのアルバムを作っておきながらやけに平然としていてすまし顔なのが逆に器用貧乏な面を感じさせます。しかし、「器用貧乏も10年つづければゴールデン器用になる。何でもできて文句あっか?!」という菅野よう子先生の名言があるように、それが何の弊害になりましょう。Fu Manchuは実際にそれを10年以上つづけてきたので、立派なゴールデン器用です。ほんとうに捨て曲なし、完全無敵のへヴィ・ロック。ゴールデン器用の真髄をご堪能ください。

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4 Baroness 「Blue Record」
完膚なきまでの男泣きへヴィ・メタル。もう最高過ぎて言葉が出ない。「A Horse Called Golgotha」の男泣き度はハンパではありません。震えて聴き、そして泣いてください。傑作!!!(詳しくはこちら

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3 Sons of OTIS 「Exiled」
普通に超カッコいいストーナーロックの名盤。また、低音のビビリ度がハンパなく、重低音マニアにも推奨。ヘヴィネス、楽理の両面において最強の作品。爆音ロック史に残る名盤だと思うので、是非一度聴いてみてください。名盤。(詳しくはこちら

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2 Church of Misery 「Houses of the Unholy」
最強。総てを蹂躙する圧倒的なヘヴィネスで疾走し自爆する燃料噴射装置付きの自殺マシーン。ほんとうにほんとうにカッコ良過ぎて鼻血と血涙と胃液と放射能が出てくるので全ロックファンは絶対に聴いてください。定番のカヴァー曲はSir Lord Baltimoreの「Master Heartache」で、今回も呆れるほどカッコいい。個人的にChurch of Miseryの最高傑作だと思う。LET THEM EAT DOOOOOM ! ! ! ! !(詳しくはこちら


extropy.JPG
1 KK NULL 「Extropy」
2009年が終わり、21世紀最初のディケイドが終わったことになりますが、この10年間は前世紀の人々が想像したような「夢と希望に溢れた21世紀」像のその片鱗すら実現することも叶わない暗黒の10年間でした。ミレニアムが一巡したものの何一つ具体的な実感を伴わないまま迎えた「新世紀」初頭の漠然としたうつつの日々が911同時多発テロの爆発と噴煙によって完膚なきまでに蹴散らされて以降、わたしたちは爆弾テロと新自由主義がズタズタに切り裂いたグローバリズムのガレキの中をよろめきながら歩いてきたわけですが、そこで気付いたことは「この世界は矛盾と理不尽と悪意と暴力に満ち満ちている」というしごく当たり前の事実認識から人類が一歩も進歩していない、ということでした。民族紛争、宗教紛争、第三世界と先進諸国間に横たわる埋めがたい格差、90年代に結局解決できずに放置されてきたそれらの問題は20世紀の終焉とともに記憶の片隅に追いやられてしまったわけではまったくなく、要するに21世紀に棚上げされて相変わらずわたしたちの近傍に存在しつづけ、それを解決するためにはわたしたちがわたしたち自身の力でその問題と対峙し、戦わねばならない、という、しごく当たり前の、そして圧倒的にごまかしの利かない事実を、わたしたちは911から始まったゼロ年代という10年間を通して痛烈に思い知らされたはずです。21世紀になって「何か新しいもの」が唐突に現れてわたしたちの何かを解決し、導いてくれる、という夢は幻想でしかなかったのだと。
大衆音楽においても、そこまでドラスティックな地殻変動や突然変異が起こったわけでもなく、「何か新しいもの」の萌芽があるようでなかなか現れず、要するにゼロ年代の文化は90年代の文化の延長であり、地続きなのだ、という、これまたしごく当たり前の事実を突きつけられつづけた拍子抜けの10年だったように思います。もちろん、まったく進歩していないということはないでしょうし、素敵な作品がいっぱい発表された10年ではありましたが、21世紀になったからといって唐突に未来的なサウンドが現れて総ての音楽パラダイムを塗り替える、というような出来事は、この10年間では遂に起きませんでした。
さて、このKK NULLの「Extropy」は、ある意味では時代錯誤的ですらあるほどの「未来らしさ」「21世紀らしさ」を、飾り立てのない正方向のベクトルで吐き出した正統派の「21世紀サウンド」であり、もう恥ずかしいくらいにピコピコでペコペコの電子音が容赦なく飛び交い衝突し対消滅する、まさに絵に描いたような「21世紀の音楽」であります。しかし、60年代や70年代の人々が「21世紀の音楽」として想像していたようなそうしたピコピコでペコペコの電子音楽はそのまま80年代に消費しつくされ順列可能性が出尽くしてしまい、もはや様式美化し厳然たる「20世紀のクラシック」として隠居しているような存在であり、今の潮流はむしろそれすらノスタルジーとして止揚したポスト・ノイズ、もしくはSunn O)))のMVYMR概念のように音響的・物理的なレゾンデートルを模索する方向へと進んでいます。要するに、完全に時代遅れです。でも、KK NULL(ex. Zeni Geva)は何の臆面もなく、正々堂々とこの時代遅れな「21世紀サウンド」を21世紀の今にぶつけてきました。
ゼロ年代のわたしたちにとって衝撃だったのは、それが90年代の単なる延長であり、結局何も解決されないまま棚上げされてしまった時代でしかない、という残酷なまでに当たり前の事実を爆弾テロとネオコンという形で突きつけられたことであり、「何か新しいもの」を求めて旧世紀の価値観のまま21世紀にやって来たわたしたちにとってこの10年間はだからこそディストピアそのものでした。戦争も経済も宗教も文化も道徳も、総て20世紀のお下がりであり、何一つとして「新しいもの」なんてなかった。
でも、その「何か新しいもの」を見出すのも結局、わたしたち自身であるはず。そしてその「何か新しいもの」はわたしたちのイマジネーションの中からしか産まれ得ないはず。
ピコピコでペコペコの電子音楽ははるか大昔に先人たちが「21世紀っぽい!!!」と夢想したものの焼き直しに過ぎないかもしれないし、実際にそうなんですが、しかしそれは「何か新しいもの」を必死に想像して考えた先人たちがかつて確かに存在していたのだ、ということのかけがえのない証明でもあります。
喪失のディケイド、ゼロ年代最後の年にKK NULLがわたしたちに問いかけた、60年代少年マガジンの巻頭グラビアが如き「懐かしい未来」、「21世紀の音楽」は、時代遅れのオールド・ファッションに身を包みながらも懸命に、かつて未来に希望を託した時代が確かにあったことを叫んでいるように聴こえるのです。「何か新しいもの」を求めて、懸命に生きた時代があったことを。
現実の21世紀は想像よりもかなり灰色の時代になってしまいましたが、まだ、あと90年あります。この余りにも場違いな「21世紀の音楽」が、わたしには何かポジティヴな散文詩であるかのように聴こえたのです。これが2009年の、わたしの第1位です。




・・・ということで2009年の大衆音楽作品10選は以上のようになりました。
以下、次点。

John Zorn 「O'o」
Masters of Reality 「Pine / Cross Dover」
Eternal Elysium 「Within the Triad」
Shrinebuilder 「Shrinebuilder」
Nadja 「When I See the Sun Always Shines on TV」
Black Cobra 「Chronomega」
Wino 「Punctuated Equilibrium」


pinecrossdover.JPG
次点作品の中で特に良かったのが、Masters of Realityの「Pine / Cross Dover」。あらゆる意味でヘヴィネスを削ぎ落とされた「肉抜き」のロックが不思議な浮遊感を伴って揺曳しているような、実に奇妙な音楽体験を提供する文字通りの「音楽的な畸形児」です。John Mclaughlinにオマージュを捧げた、とかChriss Gossがよくわからないことを言っているのもミステリアスさに拍車をかけていますが、とにかくここまで意図的に軟弱なサウンド・プロダクションを施した作品でありながら、文法や修辞はロック言語そのものである、という何とも不可思議なワンダー・ワールドへとリスナーを誘い、場合によっては引きずり込まれたまま戻ってこれなくなる可能性があります。それくらいアクが強く、クセになるサウンドスケープです。その意味では個人的に2009年最大のインパクトを提供した作品でした。

oo.JPG
また、John Zornの「O'o」は直球のインストゥルメンタル・アルバムで、特に2009年、Great Jewish Musicシリーズに傾倒していた自分としてはJohn Zornのライトサイドの暫定的な高度を知ることができた意味で重要な作品でした。1曲目の「Miller's Crake」から重く引きずるようなベースのスライドが死ぬほどカッコ良かったし、完成度の高いインストゥルメンタルがいっぱい詰まった作品なのですが(絶滅した鳥類をテーマにしたコンセプト・アルバムらしい)、中でも白眉は「Kakawahie」。メランコリックなメロディが実に"Jewish"に推移する奇跡のような名曲で、何度も聴きましたね。「Kakawahie」は2009年を代表する1曲に数えられるべき名曲だと思います。




次に、逆に期待していたけどそんなに良くなかった(とわたしが思った)作品。
ここではあまり多くを語りませんが、その筆頭となったのがSunn O)))の「Monoliths & Dimensions」。
m_a_D.JPG
現代音楽がナンなのかも詳らかにはわからないしヘヴィ・ロックについてもまだまだ不見識の多いわたしですが、やっぱりSunn O)))の真骨頂はMVYMRであり、「ここまでヤるか?!」という限界突破のクレイジーな轟音・爆音志向こそがSunn O)))の真髄なのだと思います。個人的には、メタリカの「For Whom the Bell Talls」をわけのわからない超重爆音でボコボコにコピーしてMerzbowと轟音核融合した「Flight of the Behomoth」辺りがやっぱり頂点だった気がします。あの頃はまだロックの香りがしていました。ロック=バカです。バカ=ロックです。そして、ロック≠(not equall)お利口さん、です。要するに、いまのSunn O)))は自分にとってはこまっしゃくれたお利口さんの音楽にしか聴こえません。バカの素晴らしさは、半歩先の行動がまったく予想できないことです。次から次へと繰り出される「予想外」の連続にわたしたちは恍惚となり、どっぷりと中毒的に耽溺していくのです。だからこそロックという文化はここまで発展してきたのです。対してお利口さんは基本的にマニュアル駆動なので、次の行動がある程度予測できます。行動がパターン化しているので傍観者のわたしたちにしてみたら、あまりおもしろくありません。
何もロックを学術的に精査する試行が悪いとは言いません。何か、ジョン・コルトレーンとかマイルス・デイヴィスみたいでカッコいいしね。でも、それとその音楽がおもしろいかどうかは全く別の問題です。個人的には、ヘタでもバカでもいいから「おもしろい」音楽が好きです。その意味で最近のSunn O)))はあんまりおもしろくないです。正直、ゴシック・メタルが如き訥々としたセリフの裏にかぶさる不協和音、とか、ネタ音楽としての素養は充分なので、エクストリーム・ネタ・メタルへと転生を遂げて欲しい気分でいっぱいです・・・・・なんて言うとMVYMR的には間違いなんでしょうか?でも、わたしはやっぱりMVYMRってもっと「おもしろい」概念だったと思うんです。「White1」の辺りとか、普通に無茶してておもしろかったです。あの頃のSunn O)))に、もう一度会いたいです。

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ロックをアカデミックに敷衍しようとする試みが悪いとは言わんけど、それと音楽がおもしろいかどうかは別・・・という意味で、Sonic Youthの「The Eternal」もSunn O)))と同じく、個人的にあんまり良いと思わなかったです。何かインディーズに返り咲いてイチから出直し、みたいに盛大に太鼓を叩いて日本ではTシャツ付きの初回限定盤が非人道的なぼったくり価格で売られたりしていましたが(当然、買いませんでした。輸入盤で充分です)、個人的には「Daydream Nation」の頃からどこがどう変わっているのかよくわかりませんでした。というか「Daydream Nation」の頃にあったツッパリ根性というか、暴走族が汚いカワサキに乗り回してラッパを吹きながらジョルジュ・バタイユを読んでいるような異文化侵略性が、あまり感じられませんでした。聴いてて途中で寝てしまいました。「Eliminator Jr.」みたいな必殺の曲があれば、もうちょっと印象が変わったのかもしれませんが・・・。個人的にはSonic Youthももっともっとバカでおもしろい音楽を作れる気がするので、次回に期待です。
繰り返しますが、ロック=バカなのです。バカ is ロックです。がんばれ!  ・・・まあ、Sonic Youthはもう「ぬるま湯」が規定路線になっているので、「The Eternal」もその意味では充分に優れた作品なのかもしれませんが・・・。




あと、2009年といえば80年代~90年代前半に発表された日本のアンダーグラウンドの作品が多くリイシューされたことも忘れてはなりません。獅子奮迅の働きをしたのがディスクユニオン傘下のP-ヴァインです。想い出波止場の全作品リイシュー、羅針盤の初期3作品リイシュー、そして突然段ボールの「抑止音力」をリイシュー、と、レコード会社としての最低限の責務をこの1年間で十二分に果たしたことになります。こうしたP-ヴァインの大車輪の活躍があって、遂にわたしも畢生の夢だった「抑止音力」を手に入れることができました!ほんとうにP-ヴァインさん、ありがとうございます。

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「抑止音力」は「くだらねぇバカ!くだらねぇ日本!くだらねぇクソ!」というあまりにも圧倒的に素晴らしい歌詞によって日本音楽史に永遠に快癒することのない傷跡を刻み込んだ「夢の成る丘」を収録した、カルト・アルバム中のカルト・アルバム。ロックが大衆音楽として俗転していく過程を痛烈に批判したこの作品は、日本だけでなく世界規模で音楽の消費構造が変わり、大衆芸術そのものがその存立意義をリセットしていまいちど模索しつつある混沌とした時代の今だからこそ、むしろより強い意味を帯びてその破壊力を増しているようにすら思えます。この機会に是非、一度聴いてみてください。


また、2009年は関西のインディーズ・シーンを支えてきたアルケミー・レコードのオンライン・ショップが完全に閉店し、小売業から撤退した年でもありました。それについて拙ブログでも雑感を書いていますが(実はJOJO広重さんのブログにそれが取り上げられて、少しだけアクセスが増えたことがあったりしました)、ほんとうに音楽の消費構造が確実に変わっているのだ、ということを身をもって痛感した気分になりました。AMSが終わったことがショックだったのではなく、むしろAMSがなくなってもインディーズを取り巻く産業構造がとりたてて変化することもなかった、というその事実がショックだったのです。第三の波として情報産業時代を迎えて以降、着々と何かがゆっくりと変化していきましたが、ゼロ年代最後の年にわたしたちは遂に、消費の力学が根本から変わってしまったことを期せずして知ることとなったのです。






・・・・・さて、2009年の大衆音楽は、個人的には以上のようなものでした。特筆すべきは、ゼロ年代最後の年にやはりAMSが完全閉店し、小売と卸流通におけるAmazonの帝国主義的一元支配がほぼ完成したことだと思います。また、その時勢にP-ヴァインが(というか、反Amazonのリアルショップとしてほぼ唯一黒字経営を維持している旧時代の数少ない残党であるdiskunionが)突然段ボールの「抑止音力」をリイシューしたこと。この2点が、次の一年、次のディケイドを占う上で大きな意味を持っていくものと思います。「抑止音力」のジャケットには、以下のような碑文が刻まれています。

『既成事実とこれを推進する向きとの漠々とした対決』

ロックとは糞尿ぶっつけ音楽であり、マイナー・パワーを炸裂させることであると。間違っていることに対して、大声で「間違っている!!!」、と叫ぶことであると。
何かが確実に失われ、何かが確実に変わっていったこの10年でわたしたちは新たな悪意と、新たな矛盾と、新たな理不尽と遭遇しました。糞尿をぶつけ、負の叫びを叩きつける相手は揃っています。ロック文化の基本理念が使い古された時代遅れのものだなどと、いったい誰が言えるだろうか。むしろこれほどまでに不条理と理不尽が横溢した時代にあって、誰がそんなことを言える?
ロックがもう一度ロックとして転生し降臨するときは、そんなに遠いことではない・・・・・かも。


また、個人的には今年は200枚以上のCDやアナログ作品を買い、音楽鑑賞という趣味を充分に楽しめた一年でしたが、反面で新譜の占める割合が圧倒的に低かったりします。Slayerの新譜をはじめとして、まだまだ聴いていない2009年の音源がいっぱいあります。それらをリアルタイムでフォローし切れなかったことも残念ですが、もっとも残念なのは、自分があまり得意ではないジャンルに対してつい勇み足になり、勇気をもって踏み出せなかったこと。これからは何でも恐れずに吸収していく必要があります。
良かったことは、メタルをだいぶ聴けるような体質になってきたこと。いままであまり聴かなかった音楽を積極的に吸収することで、視野が変わります。これは非常に大きいことです。

2010年はまず年明け早々にSIGHの新譜が出ます。Church of Miseryのライヴ盤も出ます。大衆音楽は休むことなく回りつづけています。ゆっくりとですが、何かが確実に変わっていくこと、そしてそれがわたしたちにとって幸せな変化であることを願います。
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Sarah Carlson
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Sarah Carlson URL 2017/08/27(Sun)11:38:32 編集
Sarah Carlson
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Sarah Carlson URL 2017/09/20(Wed)13:12:50 編集
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自己紹介:
島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

バンドとは別にソロプロジェクトとして、チップチューン・デス・メタルを追求するF.O.D(Fuck or Die)をはじめました。MySpace

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