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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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ピーター・ジャクソンの作家性をその猟奇と狂気に認める向きにとっては、「ロード・オブ・ザ・リング」トリロジーとは斟酌すべからざる拷問にも似たものだったのではないだろうか?彼ならもっと血肉が焼尽しはらわた煮えくり返るグチャグチャでドロドロの映画を撮れるはずだし、それこそが我々が望んだものだったはずだ、と。

 

ならば、この映画はどうだろう・・・・・・・・・・・?

 

 

ギレルモ・デル・トロの「パンズ・ラビリンス」はそういう放置プレイを喰らったピーター・ジャクソン崇拝者の溜飲を少なからず下げてくれるかもしれない映画だ。
 
 
米アカデミー撮影賞・美術賞・特殊メイキャップ賞、全米映画批評家協会賞の作品賞などさまざまなタイトルを獲得し各国で激賞されたこのメキシコ映画は、実に奇妙な構造をした映画だ。日本公開時における惹句は、「鬼才ギレルモ・デル・トロが贈るダーク・ファンタジーの傑作!」だが、実際にはファンタジー映画というよりも戦争映画、否、ホラー映画に近く、しかもネグレクトや幼児虐待といった現代社会の暗部にも通底するドス黒いメッセージ性を孕んでいる。

(以下、ネタバレを含みます!未見の方はご注意を!!!)
 

そもそもストーリーの構造が尋常ではない。
スペイン内戦におけるフランコ独裁政権軍と山岳ゲリラとの戦い、羊頭の半獣人と謎の古代遺跡、モンドラゴラの根茎、子供をさらう食人鬼、口から身体中の内臓を吐き出して絶命する巨大ガエルワインボトルの底で顔面を何十回も殴打され顔がグチャグチャになる農民、ハンマーやペンチを駆使した怖ろしい拷問・・・これらの要素が渾然一体となり、更にこれに楳図かずおの「半魚人」とキューブリックの「シャイニング」も加わって、しかもこれが一応ひとつのオハナシとして機能している。書いていて軽いメマイを覚えるが、ほんとうにそうなのだから仕方ない。
 
とにかくファンタジーよりも戦争とホラーとグロテスクがてんこ盛り、全編に渡りダークな空気と血液の臭いが立ち込め、しかも物語は一片の救いも見せずに終わる。ピーター・ジャクソン的であるかどうかは別として、とりあえず史上もっとも残酷でシビアでとことん薄幸なファンタジー映画、というかヘンな映画であることは確かだ。

 
 
しかし、ギレルモ・デル・トロはこのストーリーで何を言いたかったのだろう?なぜここまで支離滅裂な構成にしなければならなかったのだろう?
 
必ずしも舞台が戦争である必然はなかったと思うし、むしろ現代劇に置き換えた方が良かったのではないか、ていうかファンタジーの部分も要らないんじゃないか、とか思ったりするが、この作品は構想何十年というギレルモ・デル・トロ畢生の大作にして入魂の一品。アカデミー撮影賞を受賞したギレルモ・ナヴァロの素晴らしい映像美と流麗なカメラワークと巧みな編集による風格に満ち満ちた手堅い演出でそういった疑問ははるか彼岸に追いやられ、とりあえず「何かスゴイもんを見てしまった」という気分にさせられる。ここら辺の手腕はさすがギレルモ・デル・トロ。ちなみに共同製作であのアルフォンソ・キュアロンも一枚噛んでいる。さしずめ「メヒコ出身の映画人の同人会」みたいなもので、メヒコ映画界の底力といったところか。

 
 
正直、アカデミー賞三部門受賞は褒めすぎじゃないか、と思うけど、とりあえず迫真の映像美と手堅い演出で120分がだれることはなく、残酷シーンもいっぱいで映画としての義務は最低限果たしている。そもそも熱にうかされたようなハリウッドの「猫も杓子もファンタジー」ブームに一石を投じたという意味で、意義のある映画だったのかもしれない。

20年後には恐らく、ロード・オブ・ザ・リングやナルニア国やハリー・ポッターは跡形もなくなっているだろうが、その反面でこの「パンズ・ラビリンス」はファンタジー映画の脱構築(デコンストラクション)に挑んだ古典的名作として好事家の間でごく局所的に評価されている、そんなカルトムービーになっているのではないだろうか。
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自己紹介:
島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

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