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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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「Sunn O)))はEarth(精確には、90年代初期の第一次Earth)のエピゴーネンではない」、と憮然と言い放ったところでいったいどれほどの人たちから賛意を得られると言うのだろうか。とはいえ、Sunn O)))がEarthのトリビュート・プロジェクトとして開闢しながら、初期Earthのエピゴーネンでも、その手法のマニエリスムでもなく、まったく別個の、時代を画期する異質にして極めて新しい思潮を確立することに成功したことは寸毫の誤謬もない歴史的事実なのである。

EarthのDylan CarlsonとJoe Prestonはいまや歴史的名盤というありきたりな褒詞を超越する唯一無二の暗黒のモノリスであるようにすら感じられる史上もっとも凶悪な音楽作品「Earth 2 -Special Low Frequency Version-」を遺したことによって、アングロサクソンとアフリカンの間に産まれた文化的私生児としてのロックという名の「エスニック音楽」をハイアートにまで昇華し、そして一方でアール・ブリュにまで沈下させ、ロックのクロノロジカル・テーブルに永遠にその名を刻んだ。「ピックアップによって捕獲されアンプによって増幅されパブリック・アドレス・システムによって広域に放射される音楽は、あまりに多くのノイズを孕み過ぎる」、というごく当たり前の事実をもっともキャッチーな形で顕揚すること・・・それこそが「Earth 2」が教唆する最大の寓意であり、そしてそれはロックの膝元のコミュニティに限らず、現在の音楽消費文化そのものに終止符を打刻するような、あまりにも巨大なパラダイム・シフトだった。「Earth 2」は様々な意味で、意味論的にも、そして存在論的にも、音楽の息の根を止めてその内臓を身体から引きずり出してばらまいたのだ。
Sunn O)))がEarthから継承したものがあるとするなら、恐らくそれは持続音(ドローン)を延々と放擲するというシュルレアリスティックな脱構築の方ではなく、存在論的な革新性の方だろう。Sunn O)))は「Earth 2」がもたらした壮絶な虐殺によって荒野と化した音楽消費体系にまったく新たな秩序を持ち込もうとした。ドローンを垂れ流すことではない。「出来うる限りの大音量でドローンを垂れ流すこと」を選択したのだ。"MVYMR" (Maximum Volume Yeilds Maximum Results)という、まったく新しい概念の勃興である。
彼らは扼殺して腹を切り裂き内臓を取り出す行為それ自体に傾倒し専心したのではない。わかりやすく言うなら、彼らは人を容赦なく虐殺し、屍姦し、四肢を切断し内臓をブチまけるそれらの行為が合法化され公然と是認されるディストピアを訴求したのだ。「Earth 2」の大虐殺のあと、Sunn O)))は過去の音楽消費文化の屍山血河に佇立しながら、こう叫んでいたはずだ・・・「音をくれ!もっと低く、もっと重く、もっと巨大な音を!!!」


"MVYMR" 「限りなく巨大な重低音を放射し、その振動を楽しむ」という概念がいつ頃から胎動を始めたのかは、不勉強ながらわたしの知るところではないが、結局はそれは時代の要請によって産声を上げたように思われる。アンプリファイアされ、パブリック・アドレスされた音は旋律や拍動という音楽言語をスケープゴートに差し出すことの代償として、凄絶な重低音が導出する振動が三半規管に心地よく作用すると言う新たな力学をもたらした。音楽(それが正調であれ、雑音であれ、スカムであれ)を楽理的に並んだ音符の連なりとして解釈するという、言わば音楽をひとつの言語として理解する前近代的な音楽消費が意味論的であったのに対し、MVYMRによる音楽消費は物理的であり脊髄反射的であり極めて原始的で、だからこそフィジックで存在論的で、そしてより身体的である。

MVYMRによる音楽消費が音楽言論のヘゲモニーを得るには至らないまでも、ひとつの確かな学閥を築き上げることに成功しているその後景には技術的なイノベーションがある。エレクトロニクスの進捗によってサブウーファーを搭載した音響装置がデファクト・スタンダードと成りつつある現在のオーディオ文化の諸相は言外に「重低音の出力が強化されることによってパブリック・アドレスがより汎用化され、大衆化されていること」を示している。高性能なドライバーユニットがより安価になり、より多くの家庭に供給されるようになることは言わば重低音の物理的な振動がマス・プロダクトされるということであり、「今日のリテラルな音楽消費によって言語化されてきた音楽がより低く、重く、そして巨大になることによって言語としての意味性を消尽し、音楽を物理的な振動として享受する」という新しい音楽消費、MVYMRによる音楽消費がコモンセンスとなる時代の到来が決して遠くないことを意味しているように思われる。(Sunn O)))の作品群に限らず、サウンド・プロダクションを重視して物理的なヘヴィネスにコアコンピタンスを置く大衆音楽は徐々にではあるが確実に現れている。特にGreenmachineの「The Archives of Rotten Blues」はその黎明期におけるひとつの里程標として、Sunn O)))の中期作品と並んで今後あらためて再評価されるべき歴史的名盤だと言えるのではないだろうか。)
ビートルズがリマスタリングされ、最新のサウンド・プロダクションによってフィジカルに忠実に、より身体性を付与されオーガニックに転生した今日、もはやMVYMRによる音楽消費が主流となる日も近いかもしれない。

Sunn O)))はMVYMRによる音楽消費の可能性についていち早く気付き、Earthの「Earth 2」をセントラル・ドグマとした異形のヘヴィ・メタル・ミュージックをもってそれを啓蒙したバンドである。「Sunn O))) (The Grimmrobe Demos)」「ダブル・オー・ヴォイド」「Flight of the Behemoth」「White 1」といった至高の作品群はまさに、四肢を切断され喉笛を切り裂かれ語るべき言語を失った"死んだ音楽"の死臭が充満する地獄絵図であり、かつ同時に人為から脱却しより自由になった「音」たちがたゆたい揺曳する桃源郷のようでもある。そこではまさしく、音の粒子たちの「歌」が聴こえるのだ。Sunn O)))の重低音はある意味で「究極の音楽」である。

Sunn O)))のMVYMRという冒険は「White 1」で臨界点を踏破し、一度休止した。いや、休止したわけではなく、ただ単にドグマが「Earth 2」のへヴィー・ドローンとは別のものへ変わっただけなのだろうが、ヘヴィ・メタルの未来であり、ロックの未来であり、そして総ての音楽の未来を指し示したかつての作品群の方がやはり芳醇で、愛おしい。ロックという、あまりにもノイズを孕み過ぎた音楽のその醜さをノイズ・リダクションによってリペアーするのではなく、より大量のスタック・アンプでアンプリファイアしてその「バグ」を徹底的にドス黒く凶悪に肥大化させること・・・。それこそがSunn O)))であり、そしてMVYMRなのだ。
「White 2」はその意味で、過渡期に当たる作品だ。MVYMRの概念に忠実な部分と、それを止揚した環境音楽的な部分が共棲しているが、もちろんわたしにとっては前者の部分だけが重要であり、偏愛する価値があり、それ以外の「実験」の部分にはあまり興味がない。

スタック・アンプの壁を築き禍々しい轟音を大量に放出し、空間に振動とその残響という悪意と狂気を瀰漫させること。そしてそれを光情報としてディスクに打刻し、エントリー・モデルとハイエンドなピュア・オーディオの懸隔に空いた貴賎の差に関わらず、等しく総ての音響機器で忠実にその虐殺が再現されること。わたしにとってのSunn O)))とは、即ちそういうことなのだ。「Earth 2」の轟音を受け継ぎ、「轟音を鳴らすこと」からその意義を「轟音を大音量で鳴らすこと」へと転化し、鼓膜を蹂躙する重低音のその悪魔的な神々しさにより物理的に感応し、共振する。引き延ばされ、増幅され、禍々しく変形した音の粒子が凄まじい呪いの雄叫びを上げながらわたしの三半規管に「揺さぶり」をかけ、そこで音楽のその肉体を知覚し、邂逅を果たす。
ありきたりな表現かもしれないが、ヘヴィ・メタルが身体性を追求した音楽であるなら、Sunn O)))はまさしくその血脈を受け継ぐ正嫡である。暗喩でも直喩でもなく、物理的な再現性を伴った身体性。形をとって空気を横断する音の塊。Sunn O)))の真髄はやはりそこにあるような気がする。大音量化の途をたどり、相次ぐ技術革新の影で自らが生来的に孕んできた帰無性、帰"ノイズ"性という宿痾を必死に葬り去ろうとしてきた産業音楽のありかたにSunn O)))は異議を唱え、パブリック・アドレスの帰"ノイズ"性を全面的に肯定し徹底的に顕揚するというもっとも効果的なやり方で反抗したのだ。


ヘッドホンで大音量でSunn O)))の「White 1」の「The Gates of Ballad」を聴こう。凶悪な重低音に鼓膜を蹂躙し尽くされ、ようやく静寂が訪れたそのとき、身体の中へ滞留した禍々しい轟音の胎児が内側からけたたましい産声を上げ、それが「耳鳴り」となって確かに「聴こえて」くるはずだ。


grimmrobedemos.JPG
「Sunn O))) (The Grimmrobe Demos)」

Earthのトリビュート・バンドとして、ギブソン製の鈍器を静かに天高く掲げることから総ては始まった。内ジャケのまだ若かりし頃のGregとStephenの写真に少しキュンとなる。絶対に実現しないだろうが、ヘヴィ・メタル・キッズのピュアネスに思わず涙腺が緩んでしまうこの素晴らしい写真をジャケットにして再販してほしい。アナログだったら絶対に買う。
音は限りなく凶悪で、この頃から既にEarthフォローワーではなく、MVYMRオリジネイターとしての風格が漂う。ただEarth愛の深遠さは凄まじく、「Dylan Carlson」というそのまんまの曲も。この曲好きだなぁ。最後の終わり方とか。

00void.JPG
「00 Void」

代表曲「NN O)))」「Richard」収録、より洗練されたヘヴィー・ドローン。録音もよりMVYMRで、大音量でヘッドホンで聴こう!!!
もはやヘヴィ・ドローンのそもそもの存立意義が散逸し、リフやドミナント・モーションといった「体節」を持ち、ひとつのケーデンスを導出するその様態はノイズやアンビエントというよりもむしろドゥーム・ロックと言ったほうが適切だ。MVYMRの黎明期に咲いた巨大なラフレシア。

flightofthebehemoth.JPG
「Flight of the Behemoth」

ノイズ暗黒神Merzbowが参戦し音楽作品的によりアーティスティックな方向に入寂したが、地獄のドローン爆撃を緩める気配は毛頭も感じられない。楽理的にもMVYMR的にも、もっともバランスが取れた作品と言えるかも知れない。日本盤エクスパンデッド・エディションの内ジャケが素晴らしい。
白眉はやはり「W.F.T.B.T.」で、メタリカのカヴァー。もちろん、原型など微塵もない。
総ての音楽ファンに推奨できる名盤。

white1.JPG
「White 1」

1曲目の「My Wall」ではスポークン・ワードとMVYMRの融合。詩を朗読するのはジュリアン・コープ!
いちばん好きなのは2曲目の「The Gates of Ballad」。ルンヒルド・ガメルセターの凶悪なスキャットとともに並進する地獄の重低音に鼓膜が完膚なきまでに破壊される至高の20分間。
Sunn O)))の頂点と言える名盤。



これらのアルバムをヘッドホンで大音量で聴こう!!!倍音と重低音のハルマゲドンで脳みそが壊滅して海馬は輪切りになりニューロンとシナプスが焼尽しあなたの頭は前よりもきっと悪くなっているだろう。そして窓の外には、暗黒の太陽が放つ禍々しい直射日光が、黒く輝いているはず。
 




(ほんとうは、ビートルズのリマスターBOXが欲しくてそれを聴いた感想を書こうと思ったが、金欠ゆえに買えず、初期Sunn O)))マンセーの記事になった。Sunn O)))の新譜はもちろん発売日に聴いたが、初期の4枚には及ぶべくもなかった。とりあえず、ビートルズのリマスターBOXが死ぬほど欲しい。)

 

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島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

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