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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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「ファーゴ」シーズン3(year3)をAmazon Prime Videoで完走する。
コーエン兄弟がなぜあのような(良くも悪くも)ドストエフスキー的な韜晦に満ちた作品を作り続けて人心を惑乱し続けているのか、その理由がようやくわかったような気がする。コーマック・マッカーシーの小説を映画化したオスカー・ウィナーNo Country for Old Menに特に顕著だが、突然キャラクターが人生についての長広舌を述べ始める毎度おなじみの観客をイラつかせるシークェンス(これは同時にウラジーミル・ナボーコフがドストエフスキーの小説についてボロクソに論難した要素の一つでもある)がなぜ彼らの映画に必要だったかも、このドラマを観ることで初めて理解できたような気がする。
オリジナルの「ファーゴ」を観たのはもう15年も前の話なのでシノプシスすらもう覚えていない・・・それでもダイナーでフランシス・マクドーマンド(そして彼女はこのTVシリーズ全体を貫く共通のアイコンとなる)がカメラの向こう側の我々に対して語った言葉は概略こういうものだった。「なぜ彼らがあのような蛮行に至ったのか?私にはわからない。なぜ善良に生きられないのか?他人の命や財産を平気で奪うのか?私にはわからない」これはそのまま、これ以降のコーエン兄弟の映画に形を変えて現れ続ける一種のオブセッションであったことは疑いようがなく、この一連の「ファーゴ」クローンもまた同じ問いを投げかけることとなり、そしてそれはこの現実とその現実を生きる他ならぬ我々自身の間で果てしなく乱反射を続け、それらは無数の線を描きやがてこの世界を満たしていく。
もちろん、それに異議を唱える者たちは大抵とんでもない悪党として画面の中に現れる(そして死ぬ)。一方で、そうした人間のクズが実際のこの世界のどの類型に当てはまるのかをこの物語は決して断定しない。その理由は簡単だ。第一に、コーエン兄弟は神ではない。誰がクズで、誰が偉大だったか、それを我々はいつも事後的にしか言明できない。そこにはある種のウィトゲンシュタインのパラドックスが存在し、それに言及することが逆にこの物語の強度を高めていたとも言える。そして第二に、世界とはそういうものだからだ。我々は両方の側に属している。善人にも悪人にもなれる。どっちのユアン・マクレガーが正しかったのかはもはや誰にもわからない。が、それでも一つだけ確かなことがあるとしたら、それは悪に与することの方が簡単だということだ。作中のヴァーガが嘯く様々なマニフェストは、悪人が自らをどのように正当化するかを実にわかりやすく教えてくれる。「世の中がおかしくなるのは悪があるからではなく、善があるからだ。だからみんな混乱するんだ」ヴァーガは本当に不快な人物であるが、この言葉には部分的にではあれ、一定の真実が含まれる。そして逆説的に、そう言いながら道を踏み外していく人間の(つまりはヴァーガ自身の)愚かさを証明してもいる。この物語がyear2に続いてまたしてもオープンエンディングで終わったことも理解できる。もはやヴァーガがどうなるかを説明する必要はないのだ。エントロピーに従い唯々諾々と生きる人間はおそらく皆例外なく愚かだ。悪人とか善人とかそういうシンメトリーを持ち出す以前に、彼らは自分がバカだとわざわざ自己申告しているようなものだ。重要なのはこうしたアナロジーであり、この物語の本当の偉大さはここにこそある。
このとんでもなくナスティーなグラインドハウス神学の極め付けは何にも増して素晴らしい。魂の浄化はボウリング場で行われ、レイモンド・スタッシーは猫に生まれ変わり、なぜ我々が易きに流れるべきでなく、困難であろうとも世界を支配する混沌や狂気と闘わねばならないのかを教えてくれるのだ。


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自己紹介:
島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

バンドとは別にソロプロジェクトとして、チップチューン・デス・メタルを追求するF.O.D(Fuck or Die)をはじめました。MySpace

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