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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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「勝負を分けたポイントはなんだったのか?」

即答するオシム。

「ペナルティ」

少し対応を躊躇するインタビュアー。
オシムは続ける。

「ペナルティ」

「PK戦ですよ」
千田通訳がフォローする。



GK川口、ストッパーに中澤、阿部、サイドは駒野、加地、中盤は鈴木、憲剛、俊輔、遠藤、そして巻と高原のツートップ。ビドゥカとアロイージのツートップには中澤、阿部が直接マンマークで張り付く形。
「オシムの言葉」で1990年ワールドカップのユーゴスラビア対コロンビアの試合に関してオシムは「コロンビアはバルデラマを経由する形で攻撃が始まる。バルデラマをフリーにさせなければ勝機があり、バルデラマにマークを外されたらそこで終わり、というチーム」と分析していたらしいが、今回のオーストラリア戦でも中澤、阿部には同様の役割が、特にビドゥカを徹底してフリーにさせないということは中澤に重要なタスクとして課せられていたはず。
個人的にPK戦までもつれ込まなければこの試合の日本を支えていたのは、中村憲剛の積極的な守備参加だったと思う。当然、中澤と阿部がツートップに引っ張られるので中盤の危険な選手、ブレシアーノやエマートンやカーニーの飛び出しをケアするゾーンが必要となる。
オシム監督は徐々に、相対的なゾーンを作らせてスピードに乗って飛び出していくフリーランの選手にはマンマークが流れていく、そしてボールホルダーの相手選手をゾーンに巻き込む、ただしこの「相対的なゾーン」には明確な固定分業がなく、臨機応変にポジションと局面と位置を問わず総ての選手が参加する、というマンマークとゾーンを融合させたような守備を日本代表に持ち込んでいるが、ここで問題になるのは「誰が余るのか」ということである。明確なフォアリベロが存在しないこの守備において、一方は相対的なゾーンを形成し、相対的な2列目(ゾーンが警戒するボールホルダーより後方のライン)から飛び出そうとする選手に地理的に近い選手が相対的なマンマークを担い、通常はアンカー的な存在である鈴木や中澤が相対的なゾーンで数的優位を作る。だが中澤はストッパー的な役割を担わされている場合が多いので、必然的に鈴木が余る場合が多くなるのが通例であるが、それはあくまで机上論であり、実際の試合展開では鈴木が中盤の危険なエリアをケアするアンカーの役割を「誰か」に託して攻撃参加していく動きがあり、この時点で相対的なゾーンをストッパーや加地や駒野と形成するべき「余る選手」を誰が担うのか、その選択肢はフレキシブルとなる。理論上はその役目を守備的でない選手、たとえば俊輔や高原が担うケースも考え得るわけである。本来ならば山岸や羽生のように「水を運ぶ」、運動量とスピードで中盤を幅広くケアしなおかつ攻撃力もある理想的なバランサーが鈴木や阿部の上がりをケアすべきなのだが。さて、今回のアジアカップにおいて、エキストラキッカーが3人も起用される一方で、バランサー的な役割を本来なら担うべき選手をオシム監督はスタメンでは使っていないのである。つまり、「余る選手」が守備の得意でない俊輔や高原のような選手になってしまうリスクがより高くなっているのだ。
オーストラリア戦ではそのリスクを低減するためにバランサーを起用する、或いは今野と阿部と中澤のスリーバックで鈴木のフォアリベロを明確にするのではないか、とおれは予測していたのだが、オシム監督はエキストラキッカー3人の守備参加を信頼したようである。
相対的なゾーンの利点は、理論上はどの局面でも守備に移行しやすいこと、そして絶対的なゾーン(ストッパーの最終ライン)にアタッカーの侵入を許す時間を少しでも遅延しやすいことが挙げられる(対してその短所はやはりゾーンを相対的に形成する動きと連動する相対的なマンマークに膨大な運動量が費やされ、かつラインが下がりやすいこと)。しかし、もうひとつの利点は攻撃へのスイッチングがより有利になることだろう。従来のフォアリベロ戦術にも言えることだが、「余る選手」には鈴木、阿部、山岸、羽生など、少なからず攻撃力、特にゲームメイクが出来る選手が当てられることが理論的には求められ、彼らがボールを奪ったあとに攻撃の基点としてそのまま攻撃参加することが相手マークのギャップを作ることに貢献するのである。
鈴木がブレシアーノやエマートンを「余って」ケアする一方で、鈴木が上がる、或いは鈴木が誰かに相対的にマンマークして流れている場合に最低でももうひとり意識的に「余る」動きを求められる選手が必要になる。そこで不慣れなバランサーとして鈴木を助けたのが、実は中村憲剛だったのではないか。エキストラキッカーが余ってフォアリベロ的な動きをすることには大きな不安要素が厳然として存在している。この試合でも、ビドゥカやアロイージのマークを第三者に受け渡すことはリスクが大きいので中澤や阿部がハーフウェーラインに近い位置に引っ張り出されるケースが起こり、その時点で鈴木と中村憲剛の相対的なゾーンが中澤と阿部のストッパーラインと入れ替わる局面が発生し、その場合には中村憲剛にもストッパー的な対人能力が求められるのである。通常ならこれは山岸や羽生の役割というよりも、スリーバックに今野(もしくは水本)が入っていて今野が担う役割だろうが、今回のゲームではエキストラキッカーである中村憲剛がそのタスクを担っていたのだ。もちろん、エキストラキッカーが余ってそしてボールを奪えた場合、エキストラキッカーにはスペースが出来るケースが予想され、攻撃へのスイッチングがより迅速にかつ有効となる利点もあるのだが、しかし中村憲剛はそのリスクをよくマネージメントした。尚試合中、憲剛のほかに加地が主に「余って」いたようだ。

守備では完全にオーストラリアの強力なオフェンスを無力化していた日本だが、こと攻撃面では、若干の拙さが見られたことは誰にでもわかる。日本は相手の退場から絶対的なピッチ上の数的優位を得ながら、再三のチャンスを決められず、ボールを保持してもショートパスをつなぐ遅攻に徹してサイドアタックを狙っていった。これにイライラしていた視聴者も多かったのではないか。決定力不足とか、速攻意識がないとか、やる気が感じられないとか、ジーコジャパンと変わってないとか、いろいろなことを言われそうだが、もう少し別の角度から見てほしい。

オシムサッカーの攻撃のいちばんの骨子は、複数の選手がフィールドの全体で「囮の動き」を多用し攻撃の選択肢にフレキシビリティを持たせ、意外性を意図的に導出し、そこからマークのギャップを作り出し相手ゴール付近でフリーの選手を作ること、であるとおれは思う。オシム監督が凡庸なクロスや強引なミドルシュートを嫌うことはよく知られるが、それは単にそういうプレーがいけないと言っている訳ではなくて、究極的には如何にそういったプレーをしやすい状況を作り出すか、という作業にオシム監督がより重点を置いているからに他ならない。もちろん、この攻撃はぜんぜん効率が良くない(長期的に見たら実はそれほど効率は悪くないのだが、近視からはメチャクチャ運動量が必要な効率の悪いサッカーに見える)。ボールホルダーではない選手には「囮の動き」が求められ、サイドにいる選手には特にオーバーラップを恒常的に必要とされる。
例えば中村俊輔が左サイドのエリアに近い位置でボールを持ち、すぐ近くには遠藤と駒野がいて、ゴール前では巻と高原がセットアップしている、逆サイドには加地が走っていこうとしている、というシーンがある。ここで今までの日本代表なら、中村俊輔が単純にアーリークロスを上げるか、個人で自ら数的不利となる局面にドリブル勝負を無謀に挑むか、或いはプレスが厳しければ遠藤にバックパスするか駒野に預け、駒野はただ単にクロスを蹴りこんでいたことだろう。これでも得点は入るし、実際オーストラリア戦の高原のゴールはそういうゴールだったんだけれど、あまり知的な攻撃とは言えない。
オシムが率いるチームとなってから確実に変わったのは、俊輔がボールを持った時点で最初に駒野が俊輔を追い越してサイドでフリーとなりいつでもボールを受けられる体勢へと移行をはじめ、遠藤が相手のマークを釣るようにエリア付近を領空侵犯し、巻がポジションを取る動きをする、と見せかけてフリーランし高原をフリーにしやすくし、そして加地が逆サイドでフリーになる、こういう多様に複数の選手が関与する連動した動きがチーム全体のコンセプトとして共有されるようになってきつつあることだろう。ここで理想的には左サイドにオーストラリアのディフェンスが傾いたところで右サイドのフリーで待つ加地にボールが渡り、ここで加地がエリアに切れ込むか、もしくは危険なパスを出すか、でチャンスメイクをする。左サイドに引っ張られたディフェンスは右のスペースにケアしようと若干のギャップを作り、ここで初めて高原や巻の個人技が活きる。
「ボールも人も動くサッカー」というのは古くはオフト時代からにわかに言われていたことだ。しかしオシム監督が歴代のどのコーチとも違うのは、「プレーに関与する人も、プレーに関与しない人も動く」ことを要求している点だ。直接プレーに関与しない動き、例えば先ほどでは駒野と遠藤と巻の動きは敢えて犠牲となるわけだが(場合によってはいちばん長い距離を走ってくる加地にさえボールは渡らない、という選択肢も俊輔にはある)、こういった「無駄走り」、「効率の悪い動き」をオシム監督は徹底させようとしている。逆サイドの加地に振るのが理想というのは、そこがもっとも相手にとって意外性があり、かつフリーでボールを扱える時間が長い選択であるからだ。
さて、オーストラリア戦の日本にとってもっとも出来ていなかったのは、この「フリーでボールを扱える時間」でアイディアが枯渇していた点である。もしくはフリーでボールを持ってから無謀な冒険に挑んでしまったこと。また、もっともっと根源的には「囮の動き」が少な過ぎたこと。ここで言う「フリーでボールを扱える時間」というのは、フォワードがゴールキーパーと1対1になる瞬間ではなくて、フォワードがドフリーでゴール前に詰めた瞬間ではなくて、チャンスメイクのイニシアティヴがこちら側に大いに傾いている局面のことである。単純に言えばクロスを上げて(もしくはグラウンダーのパスを這わせて)トップがゴールに押し込む、この一連の動きの可能性が著しく高い瞬間がもたらされた局面である。この場面でもっと良い動き、速くて確かな判断が出来れば、高原の個人技を使わなくても誰でもゴールを決められる確率が高くなる。決定力以前の要素が存在することが言明されることだろう。
とはいえ、オーストラリアの優秀なアタッカーたちを前になかなかリスクチャレンジがしづらかったこと、オーストラリアのフィジカルが予想以上に高かったこと、一人退場になったことでオーストラリアが完全に全員守備にシフトしたこと、と多くの要素が日本にそれをさせなかったことも考慮しなければならない。ただ、もう少し出来たはずだ、というのは多くの人が感じていることと同感。
でもやっぱりあの遅攻は緩急を生んでサイドアタックをかける一連のコレクティヴな攻撃を全体が意図してやっていて、そしてほぼ確実にそれは出来ていたので、やっぱり、いちばん肝心な「フリーでボールを持てる局面」での精度が欠けていただけだったのだろう。ただ、オシム監督が「美しいことをまだ結果につなげられない。それは一朝一夕に解決する問題ではない」と言ってるように、その「局面」で如何にコレクティヴなプレーが出来るかは決定力なんかよりも遥かに難しい問題であるのだが。

オシム監督は決して日本代表に「アルゼンチンやバルセロナのようなプレーをしろ」と言っているわけでは、決して、決してない!!!むしろオシム監督は「ロナウジーニョやメッシがいなくても魅力的な攻撃サッカーをすること」を目指そうとしているわけで、それこそが「日本化」の尊い意義である。
「決定力主義」者たちが単純に「チャンスをモノにすること」を目指しているなら、もっと単純に退いて守ってカウンターにしてアンリとロナウジーニョを帰化させて二人に攻撃を一任すれば良い。そうすればたいへん効率の良い美しいサッカーが期待できるだろう。

でもおれは、そういう効率主義、決定力主義、勝利主義には反対です。
それらはサッカーを殺すからです。

無駄走りと非効率と泥臭さの中にこそ、サッカーの善性はあるのです。

その瞬間にこそ人間は、弱さによって強くなるんですよ。

そう思いませんか?


アジアカップ  日本vs.オーストラリア  (1-1 / 4-3p)
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