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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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チャールズ・ロートン監督、ロバート・ミッチャム主演の「狩人の夜」(原題: Night of the Hunter)

 
 
封切られた当初はその革新的な要諦がまったく理解されずに放擲され、数十年たってからようやく事後的に再評価される、という現象はカルト・ムービーたるものの基本則であるが、もちろんこの「狩人の夜」もその多分にまったく漏れない。でもほんとうの意味ですごいことは、この映画が今日でも充分な脅威と興奮と、そして悪魔的な映像美を湛えて観る者の左心房を圧搾できるだけのクオリティを保っているということだ。
 
映画の賞味期限・・・或いは映画に限らず大衆芸術というものに固有の同時代性というものが時代の指示によるその政治的な存在意義から失われてしまうまでの時間を測る方程式のようなものが仮にあるとして、「NOTLD」や「恐怖の足跡」や「サイコ」など数多の偉大なる作品たちがそれでも褪色の憂き目に遭うであろう絶対的な限局をも、この「狩人の夜」という奇跡的で極めて悪魔的な映画史のモノリスは超えてしまったのではないか、と思わずにはおれない。例えば「悪魔のいけにえ」や「ゾンビ」のように。
 
 
 
「Leaning on the Everlasting Arms」(永遠の主の御手に身を委ねよ)の朴訥としたメロディーをハミングしながら馬を駆り、暗闇の中に佇立し、或いはポケット・ナイフを弄び、その神々しいまでに悪魔的な視線を突き刺して悪意と狂気の種を産み落とす。金のために平気で人を殺す。神の名を騙り、聖書を片手に敬虔な眼差しを浮かべ、平然と人を殺す。その右手には「LOVE」、左手には「HATE」の刺青・・・。宣教師ハリー・パウエルは映画史上屈指のシリアル・キラーでありながら、同時に究極のコメディアンでもあるのではないだろうか。その悪魔の所業からは冷徹さと理不尽さと、そして気だるげで空虚に満ちた乾いた笑いまでもが滲み出ているからだ。

ロバート・ミッチャムの人格造詣は今日的なロールプレイのスタンダードであり、現在のどんな俳優の名演もこのハリー・パウエルという究極の怪物の前ではただの子供に見える。惰眠を貪るようで一方で想像を絶する悲しみを帯びたロバート・ミッチャムの顔はシリアル・キラーを演じるにはこれ以上にない資質であるし、同時に最高のブラック・ユーモアでもあり、それらの要素はハリー・パウエルという男のその漆黒を際立たせて人類史上最悪の狂気の権化に命を吹き込むことに成功している。

 
 
もうひとつ、スタンリー・コルテスの映像美が今日でもなお語り草になっているが、その美しさは狂気に満ちたハリー・パウエルの物語に併置されたが故に余計に際立っているように思う。否、美しい映像で映し出された悠久なるアメリカーナの農村風景でハリー・パウエルという怪物が狂気の犯罪を繰り広げたが故に、物語の背徳性が際立ったと言うべきか。今日我々にとってもっとも興味深く、かつ驚くべき点は、ハリー・パウエルのキャラクターが今日に至るまで延々と模倣され続けたその先進性や革新性ではなく、大恐慌時代の牧歌的なアメリカの片田舎の幻想的な風景の中でさえ、目を背けたくなるような人間の醜悪な部分が今日と変わることなく確かに胎動していたという事実にこそあるのではないか。
 
 
猥雑な現代社会の混沌では当たり前のようになった気狂いと自殺願望と排他性の系譜が実は大量生産工業社会以前の近代のノスタルジアの中でも変わらず有効であり、それは科学や産業の副産物でもなんでもなく、人間という名の怪物が生来のものとして備えている悪魔の遺伝子であるということを、「狩人の夜」を観るたびに我々は気付かされるのである。
 
 
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島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

バンドとは別にソロプロジェクトとして、チップチューン・デス・メタルを追求するF.O.D(Fuck or Die)をはじめました。MySpace

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