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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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公開されるや各国の映画祭で震駭!驚懼!!戦慄!!!の嵐を巻き起こし一部好事家を熱狂させたパルカル・ロジェ(Pascal Laugeir)のフランス映画、『マーターズ』("Martyrs" 2008) を観ました。




これは・・・とんでもない傑作ではありますまいか・・・・・・?

ちょっといま、溢れ出る感動を抑えることができません・・・。とりあえず在り来たりで陳腐極まりないクリシェであることは重々承知の上であえて言いますが、これはもはや芸術です。アートです。
ひえー(´Д `)




みんな大好きであまりにも愛されすぎて最近ではWindows7のCMにまでその作品がフィーチャーされているルチオ・フルチ監督の『ビヨンド(Beyond)』はクエンティン・タランティーノをはじめとして80年代に青春を送った全世界のボンクラに多大な影響を与えたゾンビ映画の裏傑作であり、まさにルチオ・フルチをイタロ・ホラーの裏カンツォーネたらしめているカルト基礎教養のもはや必修科目ですが、その『ビヨンド』をはじめて観たときに思ったのが、「こういう乱雑なイメージを無造作につなげただけみたいなホラー映画がもっと観たいなぁ。」ということでした。

そのあとに『地獄の門』も観て、乱雑なイメージを無造作につなげた映画としては『ビヨンド』よりもこっちの方が一枚も二枚も上手で、この『地獄の門』は個人的にフェイバリット・ムービーの一本になりました。未だにこの映画大好きです。北米盤DVDも持ってます。


「乱雑なイメージを無造作につなげた映画」の何がそんなに良いのかと言われると答えに窮してしまいますが、物語を完全に無視して映像だけで構成された作品は思考を飛び越えて感覚に訴えかけてくる強度を持っているので、メディテーション(瞑想)に適したトリップ・ムービーという意味で通常の映画作品とはまた別の商品価値が生まれてくるのだと思います。
『ビヨンド』も『地獄の門』も自分にとってはメディテーション映画です。


その意味でこの『マーターズ』は究極のメディテーション映画です。
巻頭から掉尾まで、圧倒的なイメージの応酬で観る者の意識と感覚を完全に狩り、掌握します。序盤から細かいプロットとか伏線とかどうでもいいとばかりにすっ飛ばして急転直下と風雲急の乱高下の堂々巡りへと観る者を引きずり込み、中盤以降はまた別の意味で怒涛の次元へと突入して今度はそのものずばりの「メディテーション」世界にテレポートしてとんでもないことになります。

あまりにも完膚なきまでにそれが貫徹されているので、もはや前衛的だとか物語がスチャラカだとかそんなお題目を唱えている間隙すらなく、ただ単に次から次へと繰り出される場面の連続を「感覚的」に感じ取ることしか出来ないのです。

物語そのものはほんとにヘッポコというかシッチャカメッチャカというか他愛もないんですが、それにも関わらずここまで荘厳な映画になっている様が何というかすごいとしか言いようがないのです。

物語そのものはどうでもいいホラー映画なのに何でこんなに感動してしまうのか?すごいものを観た、という気になってしまうのだろうか?


ここで頭をもたげてくるのが、「そもそも映画とは何か?」という根源的な問いかけです。




映画とは虚構でありコラージュであり、そして何のためのコラージュであるかというとそれは総て「おもしろい物語」を語るためのコラージュでした。映画文法という名のレトリックのもとで如何にして「おもしろい物語」を紡ぐかということこそ映画の最大のテーマであり、そして今もそうでありつづけています。この点に関してはスティーブン・スピルバーグでもフリッツ・ラングでもセルゲイ・エイゼンシュテインでも基本的には同じだと思います。
例えばピーター・ジャクソンの『バッドテイスト』や『ブレインデッド』は、純粋な娯楽映画としてのその臨界点を踏破した「究極の映画」であり、「おもしろい物語をおもしろく紡ぐとてもおもしろい映画」の極北を指針する作品でした。
その意味で「おもしろい映画」は「おもしろい物語」と同義語であったりします。「崇高な映画」も「崇高な物語」、或いは「崇高な意味」と同義であると言えると思います。



その一方で映画とはそもそもmovieでありmotion pictureであり、要するに「画が動く」営為であり、つまり単純に画が動きイメージが次から次へと現れ出るものであればそれは映画であると言えるはずです。その定義に従うなら、例えば『ビヨンド』や『地獄の門』や『マーターズ』のように物語がシッチャカメッチャカでもイメージの連続体として優れているのならそれはそれで優れた映画として評価されるべきです。
もっとも、今までもそういった視座から映画が語られることは多くありました。例えばキューブリックの『2001年宇宙の旅』とか『シャイニング』とかタルコフスキーとか、あと普通の人にはよくわからんイタリアやフランスのクソつまらん映画とかがそういう風に祭り上げられることは昔からあったし今でもあります。でもそのどれもが何やら哲学的、文学的、神学的、という「学」というタームを持ち出してその裏の「意味」や「物語」を読み取ろうとしていた意味でそれはけっしてメディテーショナルな見方ではないのです。
真にイメージの連続体としてその映画を観るなら、「深い意味」とか「作者の意図」とか、そんな犬のゲロほどの価値もない戯言を衒学的に持ち出してくるのはナンセンスなことであるべきなのです。



この『マーターズ』は一応ホラー映画だし、芸術の国おフランスの映画ではあっても我が国では「フレンチ・スプラッター最終兵器!!!」という惹句で紹介されているので今後も言論のメインストリームで正当に評価されることはどう間違っても起こるはずがなく、ゴダールとかアントニオーニとかミヒャエル・ハネケをマンセーしてる連中にとっては箸にも棒にも引っかからない作品だと思います。
でもやはり「イメージが連続して現れるもの」として映画を考えるならば、これは物語性という支配から解き放たれイメージの連続体として独立し得た稀有な例として、もっと評価されるべき作品であると真剣に思います。ただ単にテーマが下賤だからとかホラー映画だからとかゾンビ映画だからとか言って『ビヨンド』や『地獄の門』や『マーターズ』を評価せずに一方でミヒャエル・ハネケとかゴダールを「崇高だ」とか「深い」とか言ってマンセーするのはハッキリ言って頭がおかしいです。


『マーターズ』には読み取るべき「真の意味」や「物語」などありません。もちろん「メッセージ性」などというものとも無縁です。高尚な要素、「お芸術」の要素など一切ありません。そこにはただ単に無造作に置き捨てられた残酷なイメージの連続があるだけです。そして、それが素晴らしいのです。あらゆる物語や意味から開放されて、ただイメージがイメージとしてそこに存在する、その様がなんとも言えずに素晴らしいのです。


例えばEarthの『Earth 2 -Special Low Frequency Version-』を思い浮かべてみてください。
延々と繰り返される轟音ギターリフ。あれと同じです。ただ単純にホラー映画のイメージの断片を並べてつなげただけ・・・でもそれでも映画としてキチンと成り立っているこの事実に、やはり驚嘆を禁じえないのです。『マーターズ』はホラー映画における『Earth 2』なのです。


とにかく、革命的に素晴らしい作品であることだけは確かです。ゾンビ映画研究家の伊東美和先生をはじめとして一部のホラー映画ファンが「何が何だかわからないがこれは何だかすごい」と騒ぎたくなったのも頷けます。あと観終わったあとに純真な顔して正義と友愛を騙る腐った総てのキリスト教徒どもを片っ端からブチ殺したくなります。何でそうなるかはネタバレになるから言わないけども。ていうかこんな大怪作を撮った監督もすごいけど企画書を通してこんなもんに金を出した会社もすごいです。とにかくいろんな意味ですごいです。ホラー映画ファンだけでなく、総ての映画ファンが正座して観るべき作品だと本気で思います。たぶん10年後か20年後か、遅かれ早かれカルト・クラシックとして『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』や『悪魔のいけにえ』や『ゾンビ』などと同等に評価されることになってると思うので今のうちにDVD買ってチェキして何十年かあとに子どもや孫に「リアルタイムで観てた!」と自慢しましょう。とにかくそれぐらい傑作です。必見!!!


*どうでもいいネタバレ*
それと、エンド・クレジットの最後に「ダリオ・アルジェントに捧ぐ」と書いてあってグッと来るのですが、そういえば主演のモルジャーナ・アラウィたんはアーシア・アルジェントに似ています。ていうか最初アーシア本人だと思ってました。その辺、パスカル・ロジェは意識してキャスティングしたんでしょうか。








あと、サントラを担当しているのはSeppuku Paradigm(切腹パラダイム)という、まるで椎名林檎のアルバムのタイトルとか「けいおん!」のバンド名のような名前のグループですが、何がすごいかと言うとバンドのサイトからサントラを無料でダウンロードできるのです!!!すげぇ!

それで聴いた感じは、何というか「フランスのBoris」みたいな・・・。でもマイスペで他の音源を聴くと一筋縄ではいかない感じです。もっともその振幅の激しさも含めて「フランスのBoris」と言っていいかもしれませんが。また、商品フォーマットとしてのリリースがあるのかどうか、ちょっとよくわからない部分、謎です。
まぁ『マーターズO.S.T』、ホラー映画のサントラとしてはけっしてベストではないけど、なかなか良く出来ていると思いますよ。どうせタダだし、みんな落として聴きましょう!!!





・・・それからもしやおられないとは思いますが、念のため、『Earth 2』を聴いたことがないという人は八方手を尽くしてでも嫁を質に入れてでも献血をしてでも今すぐに手に入れて、何が何でも聴きましょう!
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無題
そんなに言うなら俺も言うけど、他の映画批判することでこの映画誉めなくてもいいんじゃない?


俺はミヒャエルハネケがとても好きなのでこの文章は不快以外の何ものでもなかったです。


良いと思うなら良いって言うだけで、これは良いから他のあれはダメだって言う必要まであるのでしょうか。
いとー 2010/05/24(Mon)17:58:24 編集
無題
確かにちょっと語調が激しくなってしまったことは反省しています。不快になってしまったのなら謝ります。

ただ俺はミヒャエル・ハネケとかゴダールの作品をマーターズと比べてダメだとかウルトラウンコで腐ってるとかは言ってませんよ。かといって好きでもないけど、それなりにリスペクトはしているし、ファンの人を否定する気もありません。
ただ単に「それらを褒めるのなら同じ理屈でマーターズをもっと褒めたっていいじゃないか!」ということが言いたかったのです。

だからこれはミヒャエル・ハネケやゴダールの映画を否定した文章ではなく、ミヒャエル・ハネケやゴダールの映画だけを過剰に持ち上げてこういうキワモノ映画を差別する言論に対して異議を唱える文章であると理解していただきたいのです。


<ただ単にテーマが下賤だからとかホラー映画だからとかゾンビ映画だからとか言って『ビヨンド』や『地獄の門』や『マーターズ』を評価せずに一方でミヒャエル・ハネケとかゴダールを「崇高だ」とか「深い」とか言ってマンセーするのはハッキリ言って頭がおかしいです。> ←要するにコレが言いたかったのです。



でもいとうちゃんをはじめとしてミヒャエル・ハネケのファンの方を不快にさせてしまう文章になったことを本気で謝ります。ごめんなさい。
ジャンキー 2010/05/25(Tue)03:37:38 編集
無題
あと、

>良いと思うなら良いって言うだけで、これは良いから他のあれはダメだって言う必要まであるのでしょうか。

という意見はもっともだしできるだけすべてのレビューがそうあるべきだとも思うけど、でも「アレのココがダメ」とハッキリ言うことはたいせつだと思うのですよ。

この文章はハネケやゴダールの映画を否定するものではなくて、ハネケやゴダールの映画を過剰に持ち上げる風潮を否定する意図で書いたのです。そこら辺のことをハッキリしておきたかったのです。


ただもうちょっとオブラートにつつんで書くべきだったな、と本気で反省しています。ごめんなさい。
ジャンキー 2010/05/25(Tue)03:43:40 編集
無題
なるほどそういう意図だったのですね。


よく分かりました。


確かに、問題点と思える所を指摘することは大切だと思います。それで、また新しいものが出来るわけだし。


お互い音楽とか映画とか、並々ならぬ思い入れがあると思います(笑)


なんか、まとまり無くなってしまいましたが、これからもブログの更新楽しみにしています。
いとー 2010/05/27(Thu)10:14:09 編集
無題
これまでもつい筆が滑って言わなくてもいいことまで言ってしまう悪癖があったので、今回を期に改めようと思います。やっぱり誰もが気持ち良く読める文章の方がいいですからね。

趣味や主義嗜好が十人十色で違うからこそ人間はおもしろいし、違う考えを持った人から学ぶべきことはたくさんある。常にそういう謙虚な気持ちで、これからも日々精進です。


というわけでこれからも拙ブログをご懇意にしていただければ幸甚です。
ジャンキー 2010/05/27(Thu)11:39:43 編集
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島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

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