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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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ときどきひょっと思い起こすことがあって、それがたまたま金田一蓮十郎だった。
金田一蓮十郎は現代マンガ史において特に重要な働きをしたマンガ家ではない(目下)。彼女のこの「マーメイドライン」も現代マンガ史においては大したメルクマールとはならないし、ならないであろう。しかし、わたしにとっては忘れられないマンガ家の一人である。

コミックガンガン低迷期に「ジャングルはいつもハレのちグゥ」で職業マンガ家としてのキャリアを始めた彼女は、その「ジャングルはいつもハレのちグゥ」一作で作家としての地位を築き上げ、しかしそれ故に画業の指針をはからずも決定せざるを得なかった、という宿世を持つ。こういうマンガ家は多いが、彼女の場合は事情が複雑である。コミックガンガンはその後「鋼の錬金術師」のヒットで再び盛り返し派生誌も生まれるようになり、ガンガンは本格的にアニメマーケットに参入するようになる。「アニメとゲーム好きしか読まない」と従来も言われていたガンガンであったが、時代は一億総ヲタかくや、という時勢である。ガンガンは明らかに変わりつつあって、かつての「古きよき」アニメ好きとゲーム好きたちから絶大なポピュラリティを得ていた作家としての彼女も主力コンテンツとしての呵責と対峙せねばならなくなる。マンガ家としての彼女は、ここでいったん終わる。彼女は「ジャングルはいつもハレのちグゥ」を自らの手でズタズタに葬り、何事もなかったかのようにその続編として「ハレグゥ」の連載をはじめるのである。そうして産まれた「ハレグゥ」はキャラクター主義の過剰が引き起こしたマーケットのシミュラークル嗜好に見事に呼応した「対アニメヲタクニュータイプ」仕様のマンガだった。しかし、それは確かに「ジャングルはいつもハレのちグゥ」で築いた児島都の正嫡としての自らの作家性からの訣別を意味していた。その後は一貫して商業誌ベースの画業を続けつつも自らのその圧倒的な才能をあえて屈折させるような売画業を強迫的につづけていくのだ。彼女に何があったかはわたしは知らない。ただ、「ジャングルはいつもハレのちグゥ」に親しんでいたかつての自分は、もう「ハレグゥ」は読むことができなかった。ヤングガンガンに連載をはじめた「ニコイチ」もわたしにとっては意味がわからなかった。こういうマンガを金田一蓮十郎が描く意味がわからなかった。わたしにとって金田一蓮十郎は「消えたマンガ家」となった。

しばらくして金田一蓮十郎が百合姫で執筆している、という話をきいた。「マーメイドライン」はその作品集である。
少年誌において性を本格的に持ち込み始めたのは、古くは永井豪先生であるかもしれないが、金田一蓮十郎はまさにそのスタンスを継承することが奇跡的に許されたハイレヴェルな作家であった。しかも、その性へのアプローチは明らかに特殊で、というか異形であった。「マーメイドライン」はレズビアンたちの物語である。金田一蓮十郎は「ジャングルはいつもハレのちグゥ」において、手垢にまみれたライトギャグの方法論の影で異常に肥大した「性」という名の遍在的な腫瘍を描いていた。その様はともすれば退廃的で過剰に歪んでいた。その彼女が行き着く先が、百合姫だったのだろうか。でも、それで良かったのだ、と心から思う。彼女はこれで、それで良かったのだ。圧倒的に。わたしは自分の信念に基づいて断言する。
「マーメイドライン」はわたしの中の金田一蓮十郎にケリをつける作品となった。もういい。わたしはこれ以上は望まない。ようやく金田一蓮十郎というマンガ家を正視できるような気がする。もうわたしには必要のないマンガ家として。かつて狂おしいほど愛して、そしていまはもう会うこともないマンガ家として。それでいいのだ。

「ジャングルはいつもハレのちグゥ」は家族という不可解な集合に対する壮絶なアンチテーゼであった。これについてはまた別の機会に書こうと思うが、わたしはこのマンガと幼い頃に出合えてほんとうに良かったと思う。
家族なんていつでもリセット可能だし、いつだって再生できるし、そしてその終わりは突然やって来る。
20世紀の人類が到達しえた究極の傑作「ありがとう」(山本直樹)と「ジャングルはいつもハレのちグゥ」はわたしの中では同列で並んでいる。いまでもときどき思い出す。なぜウェダはクライブを許したのだろうか。許したというか、許したように装えるのだろうか。これは人類の永遠の命題であるような気がしてならない。

「マーメイドライン」では更に愛という不可解な衝動に対する壮絶なアンチテーゼが展開される。これは読んでみて、そして思い切り殴られてください。
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島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

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