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島根県のハードコアパンクバンド、ヤンキー少女、改めSOFT、改めストーナーロックバンドPOSTOVOIのボーカルjunkieの公式ブログ!!!
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わたしがもっとも敬愛するマンガ家のひとり、山本直樹先生の「レッド」の第2巻が出ました。

山本直樹といえばエロマンガですが、今作にはエロマンガ的な要素は皆無です。というより、山本直樹のエロマンガに通底していたシュルレアリスム的な前近代的私小説のメソッドがまるで用いられていません。裏を返すと作家性がまるでないです。もっと裏を返すと、新しい作家性、新境地ということも言えます。人類史上に残る傑作「ありがとう」や野心作「ビリーバーズ」ですら前衛性を内包していたのに、本作ではそういった部分は何もありません。連合赤軍に身を投じた大学生の生活をただ淡々と即物的に追っていくのみです。

なぜ、いまの時代に「革命」なのか・・・?なぜ、この21世紀に60年代の赤軍を描かねばならないのか・・・?
山本直樹は兼ねてより集団の狂気に興味があったようです。言わば共同幻想への猜疑であり、ニヒリズム的な興味です。これはシュルレアリスティックな作風と呼応しています。本人もポル・ポト(クメール・ルージュ)の人民虐殺のようなことを描きたくて本作を描いている、と言っているようです。
しかし、本作で山本直樹がとった手法はあまりにも正攻法であります。従来の山本直樹の作品も普遍的価値観への猜疑というモーメンタムの上で成立していましたが、本作はより低空からのアプローチで我々にそれを投げかけます。

「ありがとう」が90年代の日本マンガ史、いや、戦後のマンガ史を語る上で絶対に避けては通れない歴史的傑作となったように、この「レッド」も21世紀を代表するマンガになってほしいです。少なくとも、ちゃんと最後まで連載してほしいです。
もっとも、この手の大河マンガは、版元の打ち切りよりも話の破綻の方が怖ろしいですが・・・山本直樹のマンガで破綻してないマンガというのはすごい稀だし(「ありがとう」は奇跡的に破綻していないほぼ唯一の山本直樹マンガ)。


60年代の若者がなぜマルキシズムに駆り立てられていったか、わたしにはよくわかりません。連合赤軍の山岳ベース事件には個人的な興味があり最低限の知識は持っているつもりですが、なぜあのような惨禍が起こったか、それをロジカルに説明する言葉を持ちません。ただ、60年代で大学生といえば、戦後すぐに産まれた世代が多かったはずで、彼らが思想的に醸成していく過程で「戦後」というある種の思想的な大いなるカタストロフィーが存在したことは無視できません。アメリカニズムの侵食に対する危機感を抱いた最後の世代が彼らだったとするなら、マルキシズムの歴史的敗北と相まって、何とも悔しい気持ちもします。
とは言っても、浮ついた民主主義社会で育った自分には彼らの感じた焦燥がどんなものだったかなど到底わからない。案外、彼らも彼らで浮ついていたのかもしれない。巻末の押井守も言っていたように。しかし、やはり彼らとわたしたちでは「戦争」というものが何だったかを知悉しているかどうか、という情報量が決定的に違う。彼らの世代にとっては戦争とは民族が灰燼に帰すかどうかのほんとうの意味での戦争だったのではないか。彼らはそのガレキの中で産まれ育った。対して現代はどうか。例えば最近、桜の木をモチーフにした歌謡曲が毎年必ずいくつかチャートインしますが、そもそも「桜が散って美しい」というのは軍国教育を暗示するコノテーションという側面があります。それを知っての上でやっているのかほんとうに無知なのかはわかりませんが、最近の若者にとっては桜について何か唄うことはシンシアリーな自我を獲得できる儀式なのであります。そういうシンシアリーワードはたくさんあります。桜、沖縄、純愛。それを唄っていれば自分は家族をたいせつにし恋人をたいせつにし社会をたいせつにする善人である、ということを遠まわしに誇示できるわけです。便利な言葉ですね。クソったれが。死ね死ね。思考停止に陥って儀式的な言語使用しかしないような人間と、たとえ危険思想でも本気で世界がおかしいと思って世直しのことを考える人間と、どっちがヘルシーですかね。
「戦争」というのは個人の死ももちろんですが、もっと言うと連帯の死や世界の破滅を意味するものだと思います。その恐怖感が現代には何もない。911以降も実質は世界は何も変わっていない。相変わらず桜の唄は売れるし、どうでもいい近代的自我の傲慢を垂れ流すだけの歌が評価されている。北京五輪の開会の日にグルジアで内戦が起きましたね。ロシアも軍事介入して南オセチアは一変して戦禍の場所となりましたが、そういうことに対する何らかのリアクションというのが、いまの日本人にはまるでない。まるでそれについて考えることすら拒むように、何も意思表示がない。「戦争はダメだから」という観念的な言葉しかもてない。戦争がダメなのは誰でもわかる。問題は、それでも人間が戦争をしてしまうのは何故なのか、ということを真剣に考えていないことだ。

失語症の現代日本人たちよ。山本直樹の「レッド」を読もう。いまの平和が他国の死屍累々のもとで築き上げられたものに過ぎない、その現実を改めて直視しよう。そして、戦争についていまいちど真剣に考えよう。
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自己紹介:
島根県のハードコアバンド、ヤンキー少女改め、SOFT、改め爽やかJ-POPデスメタルバンドPOSTOVOIのギター・ボーカルです。

バンドとは別にソロプロジェクトとして、チップチューン・デス・メタルを追求するF.O.D(Fuck or Die)をはじめました。MySpace

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